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3/4~11 SDL2018


今年もSDL2018@smtが始まった。
運営を支えている教員の皆様、毎年ご苦労様です。

今年の一般公開初日3/4(日)は、あいにく休日当番医。日曜午前(ファイナリスト決定前)に全作品を観ることができないと、その年のSDLを100%楽しむのは難しいのだが、とにかく、診療終了後すぐ医院から仙台市内のsmtへ。
今年はあと何回 観に行けるか分からないけど、以下、会期中に随時、修正・追記していきます。
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== 3月4日の感想 ==
診療後 19:10にsmt着。6F→5Fの順に約400の建築模型を駆け足で眺めて、気になった数作品のみポートフォリオに目を通した。ファイナル(上位10作品の公開審査)の音声に耳を傾け、中継映像をチラ見しながら。審査員の意見の対立が面白いが、時間不足で消化不良気味の様子。国分町での場外乱闘が心配。
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以下、気になった作品。

213「回天する余白 -都市部における高層ビルの建替計画-」
都市の余白を利用した建て替え計画の提案。
これは、将来必要になる高層ビル建替に対する新しい処方箋。
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317「SPACE for SPACE -宇宙空間と居住空間-」
スペースコロニーの計画案。過去10数年のSDLで誰も取り上げなかったテーマかもしれない。後日ポートフォリオにゆっくりと目を通したい。
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(3/5 追記)
翌3/5(月)夜、この作品のポートフォリオを見に行った。
地球と月の引力が釣り合うラグランジュポイントL5を敷地としている。コロニーは、居住, プラント, 広場など様々な役割を持つモデュールから成る区画が複数集まって形成されている。また、各モデュール内では、重力環境を生かした物資輸送など考えられている。ただ、(もし実現化させる場合の話だが)この作品の問題点も見付けてしまった。構造材の運搬をスペースシャトルが担うことになっているが、スペースシャトルは2011年7月のフライトを最後に既に引退してしまっているのだが...。
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242「キメラ建築の生成 -名作住宅の建築的操作のデータバンク化を基にした建築設計-」
まだ見ぬ新たな建築物が創造される可能性を示唆する。
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(3/8 追記)
今日、この作品の良さを再認識。「過去の名作でなされた建築的操作の体系化」と「それらを組み合わせて編集し
新しい空間を創造する可能性」。
ただ、ケンチク学生が 以下のような間違いをしてはマズイんじゃないの?(笑)
しかも、ココは伊東豊雄さんが設計したsmtだし。
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107「烈風のマディーナ -大地を纏い広がる街-」
素材の経時的変化も生かした 砂漠における新たな空間創生の提案。砂に覆われた建物が、地形の一部に変わっていく。宇宙開発に生かせるかも。
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122「日常の間隙を縫う」
昨今の『病院での医療 から 自宅での介護 へ』という流れに伴い、実際の介護現場では、介護者の負担が大きくなってきている。本作品では、認知症の祖母を介護する母にフォーカスを当て、介護者の心に彩りを与えようとする今までにない視点の作品。
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今日、一番考えさせられた作品かな。

今年は仕事の都合で、例年になく出遅れてしまったが、久々に(普段とは違う領域の)脳ミソを使った感じ。全国から集まったケンチク学生たちの熱気から若いエネルギーを吸収。毎年こんなに多くの建築模型を浴びられる環境に感謝。あらためて、運営を支えている教員の皆様にも感謝。


== 3月5日の感想 ==
昨日のファイナルに残った10作品が 本日だけsmt 1F オープンスクエアに展示されるので、診療終了後すぐに仙台市内のsmtへ直行。
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036「住宅構法の詩学」
この10作品の中では、これが一番好き。
自分が建築に興味を持ち始めた小学生の頃に 新聞広告や建築雑誌で親しんだ工業化住宅をエレメントに解体して、別々のメーカーの要素を組み合わせて再構成する作品。懐かしさと新しさを感じる作品。
「日本三」に選出された作品。
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例えば、セキスイハイムの一部とミサワホームの一部など 複数のパーツが融合して、新しい建築空間が作られる。

360「建築の生命化」Autonomy / Interactivity
外界の音に反応して壁面を動かすことで、建物を生き物のように環境とインタラクションさせる作品。下記のQRコードで動画を観ることができる。
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自分では昔から建築物は生き物だと感じていたので、今日この作品を実際に見て鳥肌が立った。ただ、この鳥肌は、最初は心地よい感情だったが、その後だんだん不安に変わっていった。建物の生命感が前面に出てきて、ちょうど『AI頭脳をもったロボットに、地球人が駆逐されてしまう』かのような不安感というか...。
「日本一」に選出された作品。
昨日のファイナル(公開審査)では、審査員の間から、この作品が日本一になったことに対して異論もあったけど、素人目には、物議を醸すだけインパクトがある作品だったと思う。
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115「縁の下のまち -基礎から導く私有公用-」
"私有公用の最大化"というコンセプトがいい。
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(3/8 追記)
この作品は何度観ても好印象。でも、私が撮るメモ程度の写真では、その心地よい空気感を表現できないのが残念。

これら以外にも、気になった作品がたくさんあったけど、今年はポートフォリオをゆっくり読む時間がなかった。そういえば、広島の基町アパートのリノベーションを扱った作品が今年もあったけど、ポートフォリオを見るのを忘れたなあ。

「梱包日本一」も、毎年の楽しみ。
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== 3月8日の感想 ==
(あとで、写真を追記します)
3/4, 3/5に続き3日目。今日は、ゆっくりポートフォリオを読めたが、3時間ぶっ通しで観戦したら疲れた。ここ数年のSDLでも取り上げられる大きな課題の1つに「コミュニティの過疎化・空洞化」が挙げられる。今日あらためて、田舎のみならず、都心部でも大きな問題になっていること、そして、決定的な解決策がないこと を再認識した。

268「和風解体新書」
海外の名作建築(サヴォア邸, ファンズワース邸, 落水荘)を建築的和風化することにより、日本的空間性とは何であるか探究しようとする試み。面白い。
写真は、障子をはめ込まれた落水荘Fallingwater by W.L.Wright。
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185「或るアパートの遺言」
広島の基町アパートを再生させる案。アパート部分を再生させる良い提案だが、やはり、この建築物をテーマとして取り上げるのであれば、重要な要素である「人工地盤」の再生・新陳代謝にも切り込んでほしかった。
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137「蛇落地悪谷再考」
ポートフォリオが すごく良かった。
自然に逆らわずに適応する集落の在り方。
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333「壁間の棲家」
居場所系の心地良い作品。
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182「積雪による形態変化」
積雪荷重でたわむ格子状の屋根。夏には 日差しを遮りつつ 風を通し、冬には かまくら のような和やかな空間に変わる。この作品が 本日一番の収穫。初日には見落としていた。
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076「栞 -思い遣る-」
重なり合う 高さの異なる屋根が、各季節に適した日差しをもたらす。
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387「pray -都市に潜む教会-」
街の隙間を生かした祈りの空間。
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218「Park(ing)city」
建築物が自動走行する街。今までにありそうでなかったコンセプトの作品。
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<墓地を街の一部として溶け込ませる作品2つ>
320「私たちの居場所」
死者との再会の場を都市生活に開放して日常化する。
初日にこの模型を観た時には、綺麗な模型だなと思いつつスルーしたが、今日ポートフォリオを読んで、墓地を扱った作品と知った。
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097「INTERMEDIARY SPACE」
現実空間と霊界を繋ぐ媒介空間としての墓地。
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<街並みを残す方策2つ>
282「解体の庭」
通りを挟んだ住宅群の上に屋根をかけることで、家単位だった建築群を部屋単位で再構成する魅力的な案。
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188「家跡の町」
家を壊すのではなく 骨格を残し、その一部を複数の利用者が活用する。新しい空間が創生されるが、昔の面影は残る。
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いずれも、所有権の問題(遺産相続者不明など)のため実現は難しいかもしれないが、コンセプトとしては面白くて魅力的。


SDL2019も楽しみにしています。
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以下は、過去のSDLの感想メモへのリンク。
SDL2014の感想 各年ごとに気に入った作品はあるけど、全体としては、ここ数年で一番楽しめたSDLだった。
SDL2013の感想 防災に言及した作品も多かった。
SDL2012の感想 大震災翌年のSDL。作る側にも観る側にも、震災の体験が多少なりとも影響していた印象を受けた。
SDL2011の感想 会期中の3/11に東日本大震災が発生。
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by bostonmarathon | 2018-03-04 23:00 | アート & 建築

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