3/9~16 SDL2014
2014年 03月 09日
サポートしている教員の皆様にも、頭の下がる思いです。
= 3月9日の感想 ==============================
午前中2時間ほど、大勢のケンチク学生に揉まれながら、6F→5Fの順に駆け足で全作品を眺めた。今年は、死を扱った作品が多かった気がする。
ゆっくりとポートフォリオを読めていない作品も多いので、意図を誤解している作品もあるかもしれないが、とりあえず、気になった作品(メモとして撮ったのでピンボケ写真もあり)。
347「記憶の祝祭」;気仙沼の共徳丸を、実体としてではなくネガとして残し、震災の記憶を伝える作品。震災遺構の残し方の1つの方法として、本気で考えて良いように思う。
146「紙の舞殿」;綺麗な模型。和紙の産地を再生するというテーマのもとに、折り紙を応用して平面から立体を作っている。
231「引き出す都市/引き込む建築」;住宅と都市がお互いに、緩やかに空気を引っ張り合っている感じが好感。
054「都市に住む」;構成単位の可変性が、建物に柔軟性を与え、街のAgingを可能にしている。
072「水を引き込む街 -防潮堤としてのランドスケープ-」;日常の潮の満干に対するプランとしては心地良いが、津波や増水に対する防潮堤としての機能が不十分か。
083「水とともに生きる -Rangabali, Bangladesh-」;サイクロンなど自然災害による大洪水と共存しているバングラデシュを引き合いに出した作品。
086「アヤドリ新町」;過疎化する地域を活性化するための新しい処方箋。毎年、似たような試みを題材にした作品があるのは、現実的に良い打開策が無いからか?
091「巡る梁のあいだ」;首都高を緑地として再生させる作品。現実化したら歩いてみたい。
286「萩硝子工房」;伝統工芸『萩ガラス』を蘇らせるための工房。模型としてもキレイ。
315「吉祥寺ヘテロトピア -63のアプローチ空間-」;見慣れた街の風景から、63の建築的要素を切り取って、私達が普段意識していない個々の部分の意味づけを解説しており、興味深かった。またゆっくり観たい。
150「空間の形 -連続する空間を持つ建築-」;フロアを越えて連続する様々な空間が、機能をもたらす。
304「感覚風景のためのスタディ」;バレエを踊るときの感覚を思い出しながら空間を作る という意欲的な作品。面白い。
550「元ある場所へ -八ッ場が語る記憶の塔-」;ダム建設で水没する ダム湖底の集落の思い出をタワー化してダム内に残す。今年一番心が動かされた作品。
482「amphitheatrum -日生球場跡地計画-」;球場跡地を、再びヒトが集まる場所へ再生する現実的な作品。
334「祭りの濃度」;雑然とした空気が混ざりあう空間が好感。
142「界隈をたどるトンネル駅」;地下60mに作られるリニアモーターカーの名古屋駅。地下空間を迫力のある模型で表現している。
今年は、3Dプリンターを使った作品もあった(471「新輪中ノ都」)。
これからファイナリスト10点が発表される。
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= 3月10日の感想 =============================
本日の展示終了前にsmtへ。30分間だけだったが、6F→5Fの順に観戦。仕事の合間の良い気分転換になった。
まずは、もう一度観たかった 315「吉祥寺ヘテロトピア」を見られて良かった。
今日の再発見は、011「故郷を歩く」。ポートフォリオをゆっくりと読んだら、私のツボにはまる内容だった。街(あるいは個々の建物)の進化(or 退廃)のプロセスを説明している点が面白い。今回一番親しみを感じた楽しい作品。
日本一に選ばれたこの作品069「でか山」は、やはりデカ過ぎると思う。
304「感覚風景のためのスタディ」を今日も観に行ったが、キレイだった。
166「緑を生み出す "屋根と塀" -人の流れとたまり場-」;この作品を初日に観たときには、『こんな屋根では積雪をコントロールできないじゃないか』と思ったのだが、今日、ユッタリとした気持ちで観ていたら、積雪の多い地方でなければ、雨水の処理さえきちんとできていれば大丈夫じゃないか、と気付いた。実は、こういう屋根って、本当は好きなんだよね。
411「ジカン x ジブン島」;宇宙を連想させるが、現実にあったら心地良く時間を過ごせそうな空間。
昨日とは打って変わって、会場が空いていたので、落ち着いて模型を見ることができた。というか、模型たちの声がよく聞こえた。
= 3月15日の感想 ==============================
会期は明日3/16までだが、明日は行けそうにないので、閉館前に2時間ほど観に行った。前2日とは逆に、5F→6Fの順に。SDLは、作品数が多いこともあって、行くたびに新しい発見がある。
まずは、日本一に選ばれた069「でか山」のポートフォリオを初めてゆっくりと読む。彼の 七尾市「でか山」に対する思い入れは理解できる。「でか山建築」を「ドック」と接続して日常の生活に使うことで、七尾固有の建築とするアイディア。ポートフォリオを読むと、彼の思いに共感するが、この模型の大きさには、ちとunfairさを感じてしまう。ただ、緻密な模型表現には好感に感じる。
493「小さな居場所」;この手の『昔の居場所』系の作品には、どうしても共感してしまう。
490「紡ぎ合いのリンケージ -地元店営業による生き残りの連鎖を作り出す-」;模型もキレイで、実現化して欲しいが、具体的な場所が不明なのが残念(今日は、ポートフォリオが置いてなかった)。
466「Flow over flow」;初日から気になっていた作品だが、やはり、川を取り込んだ3次元的な作品については、私は好きなようだ。
501「坂の上に建つこども図書館」;行き止まりを6種類に分けた上で、坂道の上に建つ空間の使い方を再検討。
517「霧の建築」;まだ十分には理解できていないが、気になる作品。
(3/15 もう少し気になった作品があるが、後日追記。)
537「近いづいては遠ざかる」;
今回良かった点として、早期搬出作品をある程度まとめて展示していたこと。
早期搬出作品が年々増加するのはやむを得ないが、、昨年まで、歯っ欠けになった展示作品を観るのは、正直あまり心地の良いものではなかった。
次回も、今回のように早期搬出作品を、数カ所にまとめてもらえると気持ちが良い。
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以下は、過去のSDLの感想メモへのリンク。
SDL2013の感想 防災に言及した作品も多かった。
SDL2012の感想 大震災翌年のSDL。作る側にも観る側にも、震災の体験が多少なりとも影響していた印象を受けた。
SDL2011の感想 会期中の3/11に東日本大震災が発生。
SDL2010の感想2
SDL2010の感想1
by bostonmarathon | 2014-03-09 14:00 | アート & 建築