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3/10~17 SDL2013

今年もSDL2013が、smtで始まった。出張先の神戸を早朝に発ち、午後からsmtで観戦。
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しかし、その時点で既に、ファイナリストの作品は最終審査のために搬出されており、観ることができなかった。やはり、ファイナリストが決まる前に作品を一通り見ておきたかったなあ。

(以下は、時間に余裕ができたら整理します。SDLを観た雑感のメモを書き足していきます。)

= 3月10日の感想 ================================
まずは、6F, 5Fの作品にサッと目を通してから、5F, 6Fの順にゆっくりと作品を観戦。

今年は、防災に言及した作品も多かった。一方、水を扱った作品の中には、増水時の水量をコントロールし切れないと思われる作品も見受けられた。

震災後に行われたSDL2012以降、自分自身の作品を観る姿勢に変化があったと感じる。どうしても、各作品を観るたびに、耐震性を評価してしまう。例えば、472「Architect Jungle」なんかは、建物に挿入されたライトコアは非常に魅力的なのだが、ライトコア部分に揺れを吸収する構造がないため、ライトコア自体が地震被害を拡大させてしまう恐れがあるように感じた。

153「広島市民図書館」;広島市民球場を図書館・資料館に転用する案。現実的ではないが、(東北には少ない)カープファンとしては注目。
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118「Scale of Snow」;雪遊び好きには堪らない案。大雪を手懐ける試み。
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528「conectia」;大阪中之島新庁舎計画。実現には種々の問題があるが、きれいな案。桜の季節に観てみたい。
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527「行商のかけ橋」;意図を(私が)十分には咀嚼し切れてはいないが好感。防災拠点や災害備蓄にも言及。
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176「500haの建築」;好感を持ったが、もっと詳しい説明を訊きたいと思った。手前の模型群のそれぞれに解説は付いているが、計画全体を説明するポートフォリオがなかったのが残念。(→3/13にポートフォリオを観ることができた。)
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498「あふれだす図書館」;商店街に人を呼び戻すための装置としての成長する図書館。
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490「川が教えてくれること」;単純に、こんな場所があったらいいなあ、と思う。
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419「まち紡ぐかべ」;住民の心を繋ぐカベ。隣家を縦に繋いだり、壁の裏表で隣家を繋いだり。古いコミュニティーには昔からの絆の象徴として、新しいコミュニティーには住人を結ぶキッカケとして。
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447「Dear theatre, Dear museum」;劇場と美術館の違いが、分かったような分からないようなモヤモヤが残った。
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442「くうねるところによむところ」;閑散とした商店街で崩れかけた地域コミュニティーを、再生する核としての図書館。
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104「沈黙の通奏低音」;変わりゆく街の拠り所となる背骨。医師として、身体を支える背骨(椎骨)の重要性を実感しているので、この通奏低音には惹かれる。
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055「半分の領域」;廊下と教室を隔てていた壁が、様々な間隔に並ぶ 柱と梁に置き換わることにより、教室内の空気が隙間から流れ出して、教室の内外が緩やかに(でも緊張感を持って)繋がる。何とも言えない心地良さ。学習に集中できなくなる恐れはあるが、学校生活が楽しくなりそう。
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= 3月11日の感想 ================================
昨日のファイナルはsmt 7Fで観戦したが、3/10午後から観に来たためファイナリストの模型を事前に観ることができなかったので、中継を観ていても、イマイチ入り込めなかった。
一方、例年、ファイナルの楽しみの一つである審査員同士の戦い。今年は、審査員長 vs 他の審査員たち という初めて?の構図だった。

今日、smt 1Fに展示されているファイナリスト10名の模型を初めて観て感じたことを以下に。
(ちなみに、ファイナル翌日のsmt 1Fでは、作品を周囲からも観られるのが楽しい。)
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・高砂さん(日本一)と渡辺さん(日本二)の作品は、模型とポートフォリオを観ただけでは、ファイナルの質疑で引き出されたような魅力は分からない。
・高砂さんの模型には、後ろ側にもスケートリンクがあった。スケート好きには嬉しい。耐震性には疑問があるが、もし事前に観ていたら、2つのスケートリンクを発見した時点でかなり惹かれていたはず。
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・落合米屋も良かったのだが、キャットストリートという立地には納得がいかない。ファイナルで本人の説明を聞いたけど。それよりも、質疑応答の中で、宮本さんが『お米って、そんなに鮮度が大事なの?』と質問していたことに驚いた。まだまだ、美味しいお米の味を知らない日本人がたくさん居ることを再認識した。落合くん頑張れ。
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・竹中さんの作品は、ファイナルの質疑応答を見ている限りでは、水を十分にコントロールできていないように感じたが、今日初めて模型やポートフォリオを観たら、なかなか面白いと感じた。
・一番楽しかったのは、小畑さんの作品。現地調査や構想・制作プロセスをすべてポートフォリオとして展示してあり、構想・制作過程を追うことができる。彼のポートフォリオを楽しく観ている自分をみて、自分が毎年、制作プロセスを追体験することを楽しんでいることに気付いた。昨年の松井さん(SDL2012 日本二)の作品の時もそうだった。

梱包日本一、二、三。
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学生の皆さんには、SDLの結果で一喜一憂しないで欲しい。自分がいいと思ったら、強い意志を持って実行へ。でも、他人の意見にも耳を傾けて。


= 3月13日の感想 ================================
3/12は、来る余裕がなかった。でも、いくつか再確認しておきたい作品があったので、学会前で忙しい中でも、最優先に時間を確保。夕方1時間ほどsmtへ。ガラガラだったので、前2回とは作品の見え方も異なっていた。正確に言えば、見る側の気持ちにゆとりがあった。大混雑の日曜だと、見たいポートフォリオをなかなか見ることができないこともあるので。3回目の今日も、新たな発見があり満足。仕事に戻る。以下に、今日の感想。

真っ先に、472「Architect Jungle」のポートフォリオを読み直しに行った。ライトコアの建物間のジョイント部分に、揺れを吸収する何らかの工夫があることを期待して...。しかし、無かった。建物間のジョイント部分に
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こんな感じの揺れを吸収する構造があれば、間違いなく(私にとっての)日本一だった。でも、この模型は好きだ。
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176『500haの建築』のポートフォリオを見る。3/10は、ファイナリスト選出のために持ち出されたいたようで、みることができなかった。今回ポートフォリオをみて、循環する農地や循環しながらの暮らしというコンセプトを、現代の日本に持ってきた発想は面白い、と思った。好感。
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099「名前のない建築」。この作品を見るのは、宮城大学の卒展から数えて3回目なのだが、いつ見ても、綺麗な模型にもかかわらず、なんか、建物の中に入り込めない感じ。持ち込んだ大事なモノを仕舞うはずの『壁の中にある引き出し』(この作品の大事な構成要素の一つ)を、具体的にイメージさせるだけの説明がないのが残念。
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260「雨読」。静かなグラデーション感が心地よい。この作品が、(私にとって)今年のNo.1かもしれない。初日に観た時は誤解していた(水没の恐怖を感じていた)。
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505「都市の谷間に建つ植物園」。前2日間で見落としていたが、あってもいいと思う体験型の施設。
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584「スケールの乗り換え場」。初日には、数年前の新大久保の建物と空間をひっくり返した作品の焼き直しかと思いスルーしたが、今日ポートフォリオを読んでみたら全然違った。意欲的な作品。
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037「いま、黒旗をここに掲げる」。初日には理解不能な作品だったが、ポートフォリオをゆっくり読んだら、鏡を用いたリピートの意味を体感した。
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ところで、年々ひどくなる歯っ欠け。会期途中で他の展覧会へ搬出される作品の多いこと。半数の作品が既に無いエリアもある。他の展覧会も増えていて しょうがないのだろうが、残念。
いずれにしろ、主催者の皆様、ありがとうございました。3/17(日) 15時まで。


= 3月17日の感想 ================================
横浜の学会から帰仙。
タクシーでsmt前を通過すると、5F, 6Fの照明が点いていた。
SDLの撤収作業中かな。撤収終了まであと数日(?) 頑張って下さい。


SDL2012の感想
http://spcflght.exblog.jp/18554557/

SDL2011の感想
http://spcflght.exblog.jp/15016305/

SDL2010の感想
http://spcflght.exblog.jp/12992610/
http://spcflght.exblog.jp/12959734/

by bostonmarathon | 2013-03-10 22:00 | アート & 建築

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